2008年2月 (バックナンバー44号)
 
  永遠の生命のためのメッセージのバックナンバー33号(2005年5月) は「いつまでも主と共に

いる−福音を生きるいのちのつながり」というタイトルで、その中で「命の書に名を書かれて

いる」ということを申しました。また、「アカシックレコード」ということにも触れています。

「命の書」とか「アカシックレコード」というのはちょっと面白そうです。今日はその部分を

取り出して考えてみようと思います。

  そこで聖書の中に「命の書」あるいはそれに類するものがどのように出ているかを調べてみ

ます。先ずフィリピ4:3で、｢命の書に名を記されているクレメンス」とあります。そして黙示

録の６か所で、3:5 「勝利を得る者は、このように白い衣を着せられる。わたしは、彼の名を

決して命の書から消すことはなく、彼の名を父の前と天使たちの前で公に言い表す。」13:8ｂ 

｢屠られた小羊の命の書にその名が記されていない者たちは皆、この獣を拝むであろう。」17

:8ｂ「地上に住む者で、天地創造の時から命の書にその名が記されていない者たちは、以前い

て今はいないこの獣が、やがて来るのを見て驚くであろう。」20:12 「わたしはまた、死者た

ちが、大きな者も小さな者も、玉座の前に立っているのを見た。幾つかの書物が開かれたが、

もう一つの書物も開かれた。それは命の書である。死者たちは、これらの書物に書かれている

ことに基づき、彼らの行いに応じて裁かれた。」20:15「その名が命の書に記されていない者は、

火の池に投げ込まれた。」21:27「しかし、汚れた者、忌まわしいことと偽りを行う者はだれ一

人、決して都に入れない。小羊の命の書に名が書いてある者だけが入れる。」

  以上が新約聖書中の記述で、旧約では「命の書」という言葉ではありませんが、出エジプト

記32:32-33「『今、もしもあなたが彼らの罪をお赦しくださるのであれば……。もし、それが

かなわなければ、どうかこのわたしをあなたが書き記された書の中から消し去ってください。』

主はモーセに言われた。『わたしに罪を犯した者はだれでも、わたしの書から消し去る。』」

ダニエル書7:10「その前から火の川が流れ出ていた。幾千人が御前に仕え／幾万人が御前に立

った。裁き主は席に着き／巻物が繰り広げられた。」ダニエル書12:1-2「その時、大天使長ミ

カエルが立つ。彼はお前の民の子らを守護する。その時まで、苦難が続く／国が始まって以来、

かつてなかったほどの苦難が。しかし、その時には救われるであろう／お前の民、あの書に記

された人々は。多くの者が地の塵の中の眠りから目覚める。ある者は永遠の生命に入り／ある

者は永久に続く恥と憎悪の的となる。」

  話しは替わりますが、臨死体験の一つに「パノラマ的生涯回顧」というものがあって、それ

によると人は死ぬ時一瞬の内に一生のすべての忘れていたことを思い出す、いや思い出さされ

るといいます。多くの証言によるとこの時、人はまるでパノラマ写真を見ているように自分の

生涯を見るそうです。それで「パノラマ的回顧」と言われているのでしょう。推理小説の古典

的作品と言われているエラリー・クイーンの『Ｘの悲劇』の中に次のような興味深い記述があ

ります。探偵レーンが口にした「果てしない永劫」という言葉を聞いた弁護士ブルックスの発

言です。「（それを聞いたとき）私は、ある小説を思い出しました−−たしかアンブローズ・

ビアーズだったと思います。たいへん変わった筋で、絞首刑になる男の心理を描いたものです

が、首がしまるホンの一瞬間に、自分の全生涯が脳裡にひらめくというのです。  (新潮文庫

P253）」  人が死のうとする時、こうした体験をするということが、臨死体験という言葉のな

かった時代から（これが書かれたのは1931年です！）、すでに知られていた、つまり普遍的な

現象だということでしょう。それが本当だとすれば、人は死ぬ時いやでも自分の行跡を見せら

れます。

  バックナンバー26号(2003年8月) のメッセージ「知られ、そして忘れられるしあわせ」の中

で既に紹介していますが、喰代(ﾎｵｼﾞﾛ) 栄一という人の書いた『魂の記憶−宇宙はあなたのす

べてを覚えている』という本があります。その書名「宇宙はあなたのすべてを覚えている」と

いうのは何とすばらしい言葉でしょうか。この本の中で著者はこう言っています。「私たち一

人一人の行動や人生が、光によって宇宙の記憶倉庫に保管され、決して消えることなく存在し

続けることになる。世界はあなたのすべてを記憶しているのである。この地球にすむすべての

人々の人生には深い価値があるのである。宇宙の記憶倉庫に保管されたものは、全体としてひ

とつの生命体のような存在になっているとも考えられる（P237）からだ」と。今、私たちはこ

の「宇宙」という言葉を「神」と置き換えて、「神様はあなたのすべてを覚えてくださってい

る」と言えるでしょう。ヨハネ福音書21:25 「イエスのなさったことは、このほかにも、まだ

たくさんある。わたしは思う。その一つ一つを書くならば、世界もその書かれた書物を収めき

れないであろう。」の「世界で起こったことが書かれた書物」を思わせる言葉です。最近アカ

シックレコードということが言われます。フリー百科事典『ウィキペディア』によると「アカ

シックレコード(Akashic Records) は、宇宙や人類の過去から未来までの歴史全てが、データ

バンク的に記されているという一種の記録をさす概念。多くの場合、宇宙空間それ自体にその

（一種の）記録がなされると考えられ」語源は「サンスクリットの『空間』『宇宙』『エーテ

ル』を意味するアカシャ (Akasha) だ」とも言われます。まさしく天のアーカイヴズです。ち

なみにアーカイヴズ（archives）というのは記録保管所、公文書館の意味です。

  ヨハネの黙示録20:11-15は、この書物、天のアーカイヴズのことが恐ろしいほど生なましく

描かれています。「わたしはまた、大きな白い玉座と、そこに座っておられる方とを見た。天

も地も、その御前から逃げて行き、行方が分からなくなった。わたしはまた、死者たちが、大

きな者も小さな者も、玉座の前に立っているのを見た。幾つかの書物が開かれたが、もう一つ

の書物も開かれた。それは命の書である。死者たちは、これらの書物に書かれていることに基

づき、彼らの行いに応じて裁かれた。海は、その中にいた死者を外に出した。死と陰府も、そ

の中にいた死者を出し、彼らはそれぞれ自分の行いに応じて裁かれた。死も陰府も火の池に投

げ込まれた。この火の池が第二の死である。その名が命の書に記されていない者は、火の池に

投げ込まれた。」

  ここで命の書に書かれている者は神様の目に適った者、裁かれないで済む者だと分かります

が、それは同時に神様の目に適わない者、裁かれなければならない者もまたその旨が記録され

ていることが示唆されています。これこそ「天のアーカイヴズ」「アカシックレコード」に他

なりません。「いったいそんなことがあり得るのか」と人は疑うでしょう。しかし、人間が開

発したスーパーコンピューターでも、ＷＥＢに書き込まれた世界中の厖大な資料の全てを一瞬

にして検索することができます。正に現代の、科学の、浄玻璃の鏡です。人間の創ったもので

さえそうです。ましてや全知全能の神様の許に「世界で起こったすべてのことが書かれた書物」

があっても不思議ではありません。そして私たちは神様の目に適った方の記録に入れられてい

たいと思います。どうでしょうか、私たちははたして自分の名前が命の書に記されているので

しょうか。心配です。ルカ福音書10:20 に書かれているように「あなたがたの名が天に書き記

されていることを喜びなさい」と言われることができるのでしょうか。また、ヨハネの黙示録

3:5 「勝利を得る者は、このように白い衣を着せられる。わたしは、彼の名を決して命の書か

ら消すことはなく、彼の名を父の前と天使たちの前で公に言い表す」とあるように、白い衣を

着て、神様の前で名前を読み上げられる者となれるのでしょうか。そうです。本来の私はその

ような者ではありません。親鸞さんの言葉を借りるなら「地獄は一定(ｲﾁｼﾞｮｳ)」の私です。地

獄行きは決まってしまっているのです。そんな私ですが、ルカ23章43節のイエス様のお言葉、

一生悪いことばかりしてきたであろうに、最後の最後にイエス様にお縋りした犯罪人に対する

お言葉「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」というお言葉を信

じるのです。その時、私の名前もまた命の書の端に書き加えられていると知るのです。











臨死体験参考文献

高崎裕士主要著作リスト

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